防汚とは

「防汚」とは、表面に汚れや異物が付着する事を防ぎ、清浄な状態を長期間維持するための技術です。
製品に付く汚れの種類には、ウェットとドライの2つがあります。ウェットは水分を含んだ汚れで、人間の脂や機械の油、水垢。ドライは、空気中に漂う塵や埃などが該当します。
「防汚コーティング」を施すことで、これらの汚れが基材表面に定着するのを抑制します。
これにより、外観の劣化防止はもちろん、機能低下や衛生リスクの軽減にもつながります。防汚性能は、建築資材・自動車部品・光学機器・医療機器など、幅広い分野で求められており、用途に応じて撥水・撥油性や親水性などの特性と組み合わせて最適化されます。
防汚が解決できる課題
防汚コーティングを施すことで様々な分社の課題を解決する事ができます。
粉塵・油分・薬品・水垢などの汚れ付着を防ぐことで、あらゆる機器や部品の安定稼働、メンテナンスコストの削減、品質の長期維持、清掃負担の軽減を実現します。
課題解決 ①
外観劣化や美観低下の防止

屋外に設置される装置や建材は、雨水・油煙・粉塵などによって表面が汚れやすく、見た目の劣化が早く進行します。防汚コーティングにより汚染物質の付着を抑制し、光沢や色調を長期間保持します。
課題解決 ②
清掃・メンテナンスの軽減

汚れが付きにくく、また付着しても除去しやすくなるため、清掃頻度や洗浄剤の使用量を大幅に削減できます。これによりメンテナンスコストや作業負担の低減、人件費削減につながります。
課題解決 ③
性能劣化の
防止

光学レンズやセンサーなどの精密機器では、微細な汚れが機能障害や誤動作を招く場合があります。防汚コーティングは、これらの機能面での安定性維持にも効果を発揮します。
課題解決 ④
衛生・安全性の確保

医療機器や食品製造機器では、汚染物質の付着が衛生リスクに直結します。防汚性を付与することで、菌や有機物の繁殖を防ぎ、衛生的で安全な環境を維持できます。
防汚コーティングの使用例
防汚コーティングは、さまざまな分野で活用されています。油分・水分・粉塵・薬品などの汚れが付着しやすい環境において貢献しています。

建築・土木分野
- 外壁パネルやガラス窓への汚れ付着を防ぎ、美観と耐久性を長期維持
- トンネル照明や道路標識などの設備に防汚処理を施し、視認性と保守性を向上
- ソーラーパネル表面の塵埃・油膜を防ぎ、発電効率を安定化

自動車・輸送機器部品分野
- ボディやホイール表面に防汚コーティングを施し、泥や油分の付着を抑制
- ミラーやカメラレンズなどの視認部品を清潔に保ち、安全性を確保
- 鉄道車両や航空機部品の表面汚染を抑え、洗浄作業を効率化

電子・光学分野
- ディスプレイやタッチパネルの指紋・皮脂付着を防ぎ、視認性を維持
- カメラレンズやセンサー表面に防汚膜を形成し、精度と耐久性を確保
- 電子基板や精密部品の加工工程で異物付着を防止し、歩留まりを向上

医療・食品分野
- 医療機器や器具に防汚コーティングを施し、血液・薬剤の付着を低減
- 食品製造装置の表面を清潔に保ち、異物混入リスクや洗浄負担を軽減
- 容器や包装材の表面に防汚処理を行い、汚れの付着や劣化を防止

家電・生活用品分野
- 冷蔵庫や調理器具などに防汚処理を行い、油汚れ・水垢の付着を抑制
- 照明カバーや窓ガラスの曇り・汚れを防ぎ、視認性と清掃性を向上
- トイレ・洗面台などの衛生陶器に防汚コーティングを施し、清潔さを維持
防汚製品の選定ポイント
防汚に優れたコーティング製品を選ぶ際には、以下の観点を考慮することが重要です。
こうした選定ポイントを踏まえて最適な製品を導入することで、長期的に高い効果を発揮する防汚性を確保することができます。

汚染物質の種類の適合性
想定される汚れ(油分・水分・粉塵・薬剤など)に対して、最適な防汚性能を発揮できるコーディングであるかを確認する必要があります。

基材との密着性
金属・樹脂・ガラスなど基材に適合し、長期使用でも剥離や性能低下が生じにくい密着性があるかが求められます。

耐久性とコストのバランス
使用頻度や摩耗の程度に応じて、耐久性とコストのバランスを見極めることが求められます。高耐久の汚染コーティングは初期コストが高くても長期的にはコスト削減につながる場合があります。

使用環境(温度・湿度・薬品など)
高温・多湿・薬品接触などの厳しい環境条件下でも、防汚性能を安定的に維持できる耐環境性が必要です。

メンテナンス性・再処理性
定期洗浄や再コーティングの際に作業性が高く、設備停止時間を最小限に抑えられるメンテナンス性が重要です。
防汚の原理とメカニズム
(なぜ汚れが付きにくくなるのか?)
防汚コーティングの基本原理は、「汚れを付着させない」または「付着しても容易に除去できる」ように、素材表面の性質を制御することにあります。その仕組みは、主に以下の3つのアプローチによって実現されます。
表面エネルギーの低減
素材の表面エネルギーを下げることで、油や水などの汚染物質が広がりにくくなります。フッ素系やシリコーン系の防汚コーティングは、この特性を活かして付着力そのものを弱め、汚れを滑り落ちやすくします。
表面構造の最適化(微細構造効果)
ナノレベルで表面に凹凸構造を形成することで、汚染物質と素材との接触面積を減少させます。いわゆる「ロータス効果(ハス効果)」のように、汚れが粒状になって弾かれる仕組みです。これにより、雨や風などの自然要因で汚れが自浄される効果も期待できます。
親水性・撥水性のバランス制御
用途によっては、汚れを弾く撥水・撥油タイプではなく、水となじませて流し落とす親水タイプの防汚技術も採用されます。表面エネルギーを適切に設計することで、油汚れ・水垢・粉塵など多様な汚染に対応可能です。
防汚の弊社該当製品の紹介
当社(オーエフテクノ株式会社)では、お客様の用途や課題に合わせて最適な防汚コーティング製品を複数ご用意しております。
撥水、撥油、非粘着コーティング
シリコーン系オーエフコート
PFASフリーのシリコーンを主成分としたコーティング剤です。対象物に塗布すると、高い撥水性と撥油性で非粘着性に優れた薄膜を形成します。汚れや微粒子も付着しにくくなります。
撥水、撥油、非粘着コーティング
フッ素系オーエフコート
高い密着強度と6~7ナノメートルの薄さが特徴の非粘着コーティングです。熱伝導性はもちろん、刃物等の切れ味を損ねることなく持続性に優れた非粘着性を付与することができます。
「満足のいくコーティングが見つからない」「自社の製造ラインにどのコーティングが適しているのか分からない」「耐久性とコストのバランスを相談したい」といったご要望に、専門スタッフが丁寧にサポートいたします。
防汚に関する課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。